くる病とはどんな病気?
くる病とは、血液中のビタミンDが不足することにより、骨の発育不良を起こす病気のことをいいます。最近、子どもがくる病になるケースが増えているそうです。
くる病になると骨が正常に育たなくなり、極端なO脚になる、背中が曲がるといった症状があらわれます。さらに、骨の変形が進行すると、歩くのが困難になることもある病気なのです。
くる病は「昔の病気」だと思われていた!
戦前や戦後まもない頃の十分な栄養がとりにくかった時代には、くる病はありふれた病気でした。その後、食糧事情が改善されて、たくさんの人がしっかりと栄養をとれるようになると、くる病の患者も減り、次第に姿を消していきました。
しかし、ここ20年ほどで、再び子どものくる病が増えてきているようなのです。どうしてなのでしょうか?
最近になってくる病が増えている理由
子どものくる病が増えているのは、ビタミンDが不足している子が多いのが原因です。
ビタミンDが不足する主な原因は、母乳育児と日光浴不足の2つだそうです。もちろん、母乳育児にはたくさんの素晴らしいメリットがあり、日本国内だけでなく、ユニセフやWHOといった海外の機関でも推奨されています。赤ちゃんを母乳で育てたいと思っているお母さんは多いでしょう。ただ、ビタミンDだけは粉ミルクに比べるととても少ないことが分かっています。
そして、もう一つが日光浴不足です。ビタミンDは、紫外線を浴びることによって体内で合成できる唯一のビタミンです。
しかし最近では、日焼けや皮膚がんへの不安などから、子どもを日光に浴びさせない習慣が広がっています。それでは、この2つの原因について詳しく紹介していきましょう。ビタミンDの働きは?
ビタミンDは、カルシウムやミネラルの吸収をよくし、骨に沈着させる働きがあります。骨の成長には欠かせない栄養分といえるでしょう。
ビタミンDが不足すると、カルシウムなどが骨に沈着しにくくなるため、骨がやわらかくなって、くる病になりやすくなります。
ビタミンDをたくさん含む食品は?
母乳に含まれるビタミンDはとても少ないため、離乳食の時期になったら、ビタミンDを豊富に含む食べ物を取り入れていきたいですね。
さけやさんま、さば、しらすなどの魚類は、ビタミンDが豊富に含まれる食品です。また、卵黄や干ししいたけ、しめじなどのキノコ類にもビタミンDが含まれています。
離乳食を食べる前の乳児や、アレルギーなどでこれらの食べ物が食べられない場合には、サプリメントでビタミンDを補うという方法もあります。魚類を食べる習慣があまりない欧米では、子ども用のビタミンDのサプリメントが広く使われているようです。
日本でも、生後1ヶ月から使える液体のサプリメントや、ビタミンDを含むドロップが市販されています。ドラッグストアの薬剤師さんに相談してみるのも、ひとつの手ですね。
日光浴も大切ということを理解して!
肌に紫外線があたると、体内でビタミンDが合成されます。しかし、紫外線を浴びすぎることへの注意から、日焼け止めを何度も塗り直したり、子どもを外で遊ばせないようにしたりして、子どもに日光を浴びさせないようにする習慣ができてきました。
以前は、母子手帳に「日光浴」を勧める記載がありましたが、いまでは屋外の新鮮な空気にふれさせる「外気浴」という言葉に変わっています。
確かに、紫外線の浴びすぎは体によくありません。ただ、全く日光に当たらない日が毎日続くと、ビタミンDが不足しがちになってしまいます。
どれくらい日光を浴びさせるといいの?
日光浴の時間は、場所や季節によっても異なりますが、日なたで5分~15分程度、日陰では30分程度が目安です。赤ちゃんの場合は、窓越しに5分くらいから始めてみましょう。
くる病は治るの?
もし、お子さんがくる病になってしまったら、どうすればいいのでしょう?2013年に、日本小児内分泌学会は「ビタミンD欠乏性くる病・低カルシウム血症の診断の手引き」を作成して、統一した診断基準を示しました。
くる病の検査方法は、おもに血液検査とX線検査です。小児科などでくる病と診断された場合、医師の指導のもと、日光浴や食事療法により自然治癒を目指します。アレルギーなどで食事からビタミンDを摂取できない場合は、ビタミンDの薬が処方されることもあります。
もし、心配なことがあれば、まずはお医者さまに相談してみましょう。いかがでしたか?ビタミンDを食事でしっかりとったり、適度に日光を浴びさせたりして、子どもの骨を正しく成長させてあげたいですね。